・新規患者がなかなかリピートしてくれなくて困っている
・メンテナンス患者が増えないので新規患者に経営が依存している
・患者の離反率が高いので経営のモチベーションが保てない
新規患者にどれだけ通ってもらえるか、メンテナンス患者をどれだけ増やすかが治療院経営を安定させるポイントです。新規患者に頼る経営はどんな業種でも安定しないからです。
しかし治療院業界は数は増えすぎたため患者の取り合いになり、患者の離反率をどう防ぐかが大きな課題になってきました。
今回は患者離反率の高い治療院に共通して不足しているものについてお話しつつ、具体的にどんな施策を行うべきかをご説明していきます。
この記事を読むことであなたが得るもの
今あなたの院に不足しているものを理解することが出来るようになります。
その不足しているものをどう改善すれば良いかアクションを取ることも出来るようになります。
結果離反率の低下・リピート率アップを実現できます。
離反患者の多い治療院に不足しているもの
「なぜ患者の離反が起こるのか」という問いを考える時に、離反率の高い治療院の経営者に共通するのは「患者が満足しなかった」というあいまいな理由しか考えていないことがあります。
しかし実際に治療院から患者が離反するのは様々な理由が考えられ、その理由ごとに施策を行う必要があるのです。
「患者が満足しない」だけだと、正確な現状把握になりませんし、具体的に何をすれば良いかも見えてきません。
患者離反の理由を正確に理解する
「患者が満足しなかった」ということをより細かく分解すると次のようなものになります。
①施術に満足出来なかった
あなたの院の施術で自分の悩みが改善しないと感じた
②対応や接客に満足出来なかった
施術内容に不満はなかったが、スタッフや施術者の対応や発する言葉が合わないと感じた
③患者がもう十分だと感じた
治療院側は根本改善までたどり着いていないと思っていても、患者側はもう十分良くなったと感じた
④完治して通う理由がない
治療院側・患者側共に完治したと思える結果になったため、通うのをやめた
⑤通えなくなった
料金や通院時間などの問題で通えなくなってしまった
離反率の高い治療院の場合、これらの離反理由を1つ1つ対処していないことが問題になっています。
離反率を下げ患者の継続率をアップさせるには、まずはあなたの治療院がこの5つの問題をクリアしているかどうかを分析することが重要となります。
患者の離反率を下げ継続率をアップさせる方法
患者が離反する理由は複数あるのと同時に、患者の継続率をアップさせる施策・改善策も1つだけでなく複数あります。
これからその施策・改善策をご紹介しますので、自院で何を導入すべきなのかぜひ参考にしてください。
患者さんの意識を「症状改善」から「理想の生活」に変える
患者さんが治療院に通う理由を「症状改善」から「理想の生活の獲得」にすることが、離反率を下げて継続率をアップさせるために最も効果的な方法です。
腰の痛みで悩む患者さんは、腰の痛みが治まったり楽になったりすると、悩みが解決したと思い通院を止めてしまいます。
これは症状改善が通院の目的だったためです。
しかし患者さんの通院理由を症状改善ではなく「理想の生活の獲得」にすることができれば、痛みが治まってもメンテナンス患者として通院を継続してくれるでしょう。
「腰の痛みがあると好きなジョギングが出来ない。一度腰痛が起きると改善まで時間がかかる。だから腰に痛みがない状態を維持することでずっとジョギングを楽しめる日々を送れる」こんなこと治療院に通う目的にしてもらえれば、痛みが治まってもメンテナンスで治療院に通う意味を見出してくれるからです。
患者さんの通院理由を変えるために、問診票や初回時のカウンセリングの内容が重要になります。
症状の改善ではなく「どんな生活を送りたいのか」を意識させる言葉や文章をちりばめて、患者さんの考え方を変えていきましょう。
これを行うことで、②・③・④の離反理由を改善することにつながります。
治療院側が予約の主導権を取る
次回予約を患者さんにゆだねるのではなく、治療院側が主導権を取ることは離反率を下げる非常に重要なテクニックです。
患者側は少し症状が治まってくると「次は通わなくて良いかもな」と思い始めます。
そんな時に次回予約を患者にゆだねると「また症状が強くなったらくれば良いか」と考えて次回予約をしなくなります。
だから治療院側から「次回予約をいつにしますか」「また来週の同じ時間で良いですか?」と先に伝えることで、「まだ治療は終わっていませんよ」とメッセージを送るのです。
予約は治療院側が主導権を握ることを忘れないでください。
これを行うことで、③の離反理由を改善することにつながります。
メンテナンスメニューを導入する
メンテナンス専用の施術メニューを導入することで、完治後のメンテナンス患者を増やすことが可能になります。
これの代表例がEMS(Electrical Muscle Stimulation)です。
電気刺激を与えることインナーマッスルを鍛える施術で治療の一環としても使えますが、それよりも症状が完治した人のメンテナンスをアピールにつながります。
腰痛が改善した人に「今の状態を維持するためにインナーマッスルを鍛えることをおススメします」とEMSを進めやすいですし、患者側も「整体や鍼灸などでは筋肉を鍛えることが出来ないから、これは良いかも」と思ってもらえます。
EMSがメンテナンスとして最もわかりやすいサービスではありますが、他にもメンテナンスの意味を伝えやすいオリジナルの施術メニューを作っても良いでしょう。
これを行うことで、④のの離反理由を改善することにつながります。
メール・LINEで患者との関係性を保つ
患者教育は離反率を下げてリピート率を上げることにつながります。
患者教育は院内において対面で行うことも重要ですが、同時にメールやLINEを使って行うこともおススメします。
患者教育は、治療院と患者との関係性を築くことでもあります。
接触回数を増やすことは親密感を作り上げます。これをザイオンス効果と言います。だから院内だけでなく、メールやLINEも活用することが重要になるのです。
その人に合ったセルフケアや日々の生活改善の提案を送るとか、キャンペーンを告知するとか、その季節に起こりやすい症状解説を行うなど。メッセージを送る頻度は多くなくても良いのですが、2週に1回程度治療院側からアプローチすることで、患者教育をすることが可能となります。
送るメッセージの内容次第ではありますが、②・③・④の離反理由を改善することが可能となります。
院内外の環境を綺麗に保つ
とても基本的なことなのですが、院内院外の環境を綺麗にしておくことは離反率を下げてくれます。
当たり前と思うかもしれませんが、実は男性1人の治療院だとこれが出来ていないところが結構あります。
患者さんが男性にしろ女性にしろ、「生理的に無理」と感じさせてしまうと、どんなに技術力があってもアウトで継続してくれません。
また人によっては、そうして環境に治療家の性格を見ます。
「患者が来る場所なのに清潔にしていない。衛生意識がないから治療技術も期待できない」と考える人だっています。
だから院内院外の環境を常にきれいに保っておきましょう。
掃除をしてほこりがないようにする。余計な荷物を置いて雑多な感じが出ないようにする。
同時に治療家の身だしなみも気を付けてください。
着ている服はもちろん、髪の毛・ヒゲ・口臭など1人でいると意識していない部分が患者から見られています。
これは②の離反理由を改善することにつながります。
技術に満足してもらえない場合
①の施術に満足出来なかった場合は、技術力を磨いていただくことが最優先の改善法です。
ただこの理由の場合、技術力を磨かなくても離反率を下げることが出来る場合もあります。
それが「接客技術(コミュニケーション技術)」を磨くことです。
多少技術力がなくても、接客によって患者に通院を継続してもらうことが可能です。
チェーンの整骨院などは、施術者にまだ技術がなくても「初回の人はこのように接客すべし」というマニュアルが存在します。
そのマニュアル通りに接客すると、技術力がまだ未熟であっても患者さんは「通院する意味がある」と思えて継続してくれるのです。
セミナーなどに通い技術を磨くと同時に「どんな接客をすることが患者さんに通じるのか」という接客力を磨くことも選択肢としてお考えください。
通えなくなった患者さんに対して
料金や通院時間などの問題で通えなくなってしまった患者さんも一定数出てきます。
このような方の場合、治療院側に離反の要因があるのではなく患者側に離反理由があります。
なので治療院側がその理由を解消することはほぼ不可能だと言えます。
基本的にはこの「通えなくなった」患者さんに何かアプローチするのではなく、他の理由で離反しているケースを改善する方に時間とお金を使う方が良いでしょう。
どんなに素晴らしい実力を持った治療院でも、この理由での離脱を0にすることは無理ですから、もっと効果がはっきり出ることにリソースを割く方法を選んでいきましょう。
「技術力がありすぎる」は言い訳にならない
離反率の高い治療院でよく聞く言葉に「技術がありすぎて1回で治ってしまうんだよね」というものがあります。
1回の治療で良くなってしまうので通ってくれないということを言いたいのだと思いますが、これは離反率が高い理由にはなりません。
こういう場合は患者側が「継続の通院の意味を感じることが出来なかった」ということです。
つまり接客やコミュニケ―ションが不足していただけなのです。
初回治療後2か月・3か月経ってから2回目の施術を受けに来た患者が「1回で良くなったので、予約入れなかったんですよね」なんて言ってくれるかもしれませんが、これは「週に1回通う意味を感じなかった」と直接言えないので、わざわざ別の理由を作っていると理解しないと患者の意図を誤解してしまいます。
「技術がありすぎて1回で治ってしまうんだよね」と患者かわ言われた時は、誉め言葉ではなく「コミュニケーションが不足しているんだ」という風に理解して、改善を進めていきましょう。
まとめ
患者離反率の高い治療院の問題点と継続率アップの方法について詳しくお話してきました。
最後に今回説明した内容を簡潔にまとめます。
まとめ
・患者の離反率が高い治療院は、離反理由を正確に把握していない
・離反理由に複数ある場合も。自院に足りないのはどれかを見つけることが重要
・なかには努力で改善できない理由もあるので、そういう場合はより改善が期待できることを行っていくこと
繰り返しになりますが、治療院は今や数が増えすぎて患者を取り合う状態になっています。
一方で経営を安定させるの基本は「リピートをどれだけ増やすか」です。
つまり治療院の置かれている現状は非常に厳しいといわざるを得ません。
だからこそ、患者の離反を最小限にとどめリピート率を上げるため施策を行っていくことが必要になります。
「技術が良ければ患者は後からついてくる」という考え方は治療院経営には向いていませんし、殿様商売では絶対に患者は離れてしまいます。
離反率を下げる事・リピート率を上げることは、新規獲得のコストよりも低く抑えることが出来ます。
自院の患者離反率・リピート率のデータを取り、どこに問題があるのかを把握して、1つ1つ改善していきましょう。
投稿者プロフィール
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治療院ひとつひとつの特性や地域性・業種ごとの推奨マーケティング理論を踏まえた集客コンサルティングを行うプロ。
有名クチコミサイト「エキテン」黎明期に在籍し、企画立案、有料サービスのプランニング、一般店舗のコンサルタントとして集客・マーケティング業務に従事。
当時のクライアント店舗は300を超え、その大半が治療院であったため、治療院の集客を熟知するようになる。特に新規客獲得に貢献した集客のエキスパートとして2012年に独立し「店舗集客集団WAO」を立ち上げる。
2021年には店舗集客集団WAOの治療院部門を独立させ、「治療院集客集団WAO」を設立。
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