治療院を経営していると、「問い合わせはあるのに予約に繋がらない」という悩みを抱える院長先生は少なくありません。
せっかく興味を持ってくれた患者さんが、最終的に来院しないのはなぜでしょうか?
今回は、問い合わせだけで終わってしまう治療院の共通点と、その改善方法について詳しく解説していきます。
問い合わせから予約に繋がらない現状とは
多くの治療院では、ホームページやSNS、チラシなどから月に数件から数十件の問い合わせを受けています。
しかし、実際に予約まで進む割合は思っているよりも低いのが現実です。
一般的に、問い合わせから予約への転換率は30〜50%程度と言われていますが、この数値を大きく下回る治療院も珍しくありません。
つまり、せっかくの見込み患者を半分以上逃してしまっているケースが多いのです。
この状況を改善するためには、まず問い合わせだけで終わってしまう治療院の特徴を知ることが重要です。
問い合わせだけで終わる治療院の共通する特徴

1. 電話対応に問題がある
すぐに電話に出られない
治療中で電話に出られない時間が長く、折り返しの連絡も遅れがちな治療院は要注意です。患者さんは「今すぐ相談したい」「早く痛みを何とかしたい」という気持ちで電話をかけています。
その時に対応できないと、他の治療院に流れてしまう可能性が高くなります。
電話対応の質が低い
電話に出た時の声のトーンが暗い、説明が分かりにくい、患者さんの不安や疑問に十分答えられないといった問題も、予約に繋がらない大きな要因です。
2. 料金体系が不明確
料金の説明が曖昧
「施術内容によって変わります」「症状を見てから決めます」といった曖昧な料金説明では、患者さんは不安になってしまいます。
特に初回の方は、どのくらいの費用がかかるのか明確に知りたいものです。
追加料金の可能性を示唆
基本料金は安く見せておいて、実際には追加料金が発生することを匂わせるような説明も、患者さんの信頼を損ないます。
3. 院の特徴や強みが伝わらない
他院との違いが不明
「なぜこの治療院を選ぶべきなのか」が明確に伝わらない治療院は、患者さんにとって選ぶ理由がありません。
技術的な特徴、院長の経歴、治療方針などの強みが伝わっていないのです。
具体的な治療内容の説明不足
どのような手技を使うのか、どのくらいの期間で改善が期待できるのかといった具体的な説明がないと、患者さんは不安を感じてしまいます。
4. 予約システムに問題がある
予約の取りにくさ
「来週以降でないと空きがない」「平日の昼間しか予約が取れない」といった状況では、急いで治療を受けたい患者さんのニーズに応えられません。
予約方法が限定的
電話でしか予約を受け付けていない場合、仕事中で電話をかけられない方や、電話が苦手な方は予約を諦めてしまう可能性があります。
5. 院内の雰囲気や清潔感に問題がある
ホームページの写真が古い・暗い
院内の写真が古くて暗い印象だったり、清潔感が感じられなかったりすると、実際に足を運びたいという気持ちになりません。
スタッフの印象が悪い
受付スタッフの対応が冷たい、院長の写真の印象が怖いといった要因も、患者さんの来院意欲を削いでしまいます。
改善方法:問い合わせを予約に繋げるコツ

電話対応の改善
即座に対応できる体制作り
治療中でも電話に気づけるよう、バイブレーション機能付きの院内PHSを導入したり、受付スタッフを配置したりする方法があります。
どうしても出られない場合は、留守番電話に「○時頃に折り返します」といった具体的な時間を伝えるメッセージを録音しておきましょう。
電話対応マニュアルの作成
- 明るく親しみやすい声で対応する
- 患者さんの症状や不安をしっかり聞く
- 院の特徴や治療方針を分かりやすく説明する
- 料金についても明確に伝える
- 「お役に立てると思います」といった前向きな言葉を使う
料金体系の明確化
分かりやすい料金表の作成
初回料金、2回目以降の料金、学生割引などの料金を明確に提示しましょう。ホームページにも分かりやすく掲載し、電話でも即座に答えられるようにしておくことが大切です。
料金の根拠を説明
なぜその料金なのか、どのような価値を提供しているのかを説明できるようにしておくと、患者さんの納得度が高まります。
院の強みを明確に伝える
3つのポイントで差別化
- 院長の専門性や経験(○○年の臨床経験、○○症例の改善実績など)
- 独自の治療技術や設備
- 患者さんへの配慮(完全予約制、個室対応、女性スタッフ対応など)
患者さんの成功事例を用意
具体的な改善事例を3〜5パターン用意しておき、問い合わせ時に類似したケースがあれば紹介できるようにしましょう。
予約システムの改善
複数の予約方法を用意
- 電話予約
- LINE予約
- ホームページからのWeb予約
- メール予約
患者さんのライフスタイルに合わせて選択できるようにすることで、予約のハードルを下げることができます。
柔軟な時間調整
可能な限り患者さんの希望に合わせられるよう、診療時間の見直しや、緊急性の高い症状の場合の特別対応なども検討してみてください。
院内環境の改善
魅力的な院内写真の撮影
- 自然光を活用した明るい写真
- 清潔感のある受付や待合室
- 最新の設備や器具
- 院長やスタッフの笑顔の写真
患者さん目線での環境整備
実際に初めて来院する患者さんの立場になって、院内を見回してみましょう。古い雑誌は新しいものに替える、BGMを心地よいものにする、といった細かな配慮が大切です。
継続的な改善のためのポイント
データの記録と分析
問い合わせから予約への転換率を毎月記録し、改善施策の効果を数値で確認しましょう。
どの曜日・時間帯の問い合わせが多いか、どのような症状の相談が多いかなども記録しておくと、対応改善のヒントになります。
スタッフ教育の継続
院長一人ですべての電話対応をするのは限界があります。
受付スタッフがいる場合は、定期的に電話対応の研修を行い、院の方針や特徴をしっかり伝えられるようにしましょう。
患者さんからのフィードバック収集
実際に来院された患者さんに「何が決め手となって予約を取ったか」「他に検討した治療院はあったか」といったことを聞いてみると、改善のヒントが得られます。
まとめ

問い合わせだけで終わってしまう治療院の多くは、患者さんの不安を解消し、信頼感を与えることができていません。しかし、これらの問題点は決して解決不可能なものではありません。
電話対応の改善、料金の明確化、院の強みの訴求、予約システムの整備、院内環境の改善といった取り組みを継続的に行うことで、問い合わせから予約への転換率は必ず向上します。
大切なのは、常に患者さんの立場に立って考えることです。「自分だったらこの治療院に行きたいと思うか?」という視点を忘れずに、一つひとつの改善に取り組んでいきましょう。
小さな改善の積み重ねが、やがて大きな成果となって現れるはずです。まずは今回ご紹介した中から、すぐに実践できそうなものから始めてみてください。
投稿者プロフィール

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治療院ひとつひとつの特性や地域性・業種ごとの推奨マーケティング理論を踏まえた集客コンサルティングを行うプロ。
有名クチコミサイト「エキテン」黎明期に在籍し、企画立案、有料サービスのプランニング、一般店舗のコンサルタントとして集客・マーケティング業務に従事。
当時のクライアント店舗は300を超え、その大半が治療院であったため、治療院の集客を熟知するようになる。特に新規客獲得に貢献した集客のエキスパートとして2012年に独立し「店舗集客集団WAO」を立ち上げる。
2021年には店舗集客集団WAOの治療院部門を独立させ、「治療院集客集団WAO」を設立。