「毎月の売り上げが読めなくて不安」「売り上げを一定数、毎月安定して確保したい」こんな想いを抱えている治療院さん多いのではありませんか?
治療院という仕事は人を救うやりがいの多い仕事ですが、やりがいだけでは食べてはいけません。売り上げを確保していかなければいけません。
売り上げが安定しない・経営がいつも不安定なのは、経営方針が間違っているから。
そして経営方針が間違ってしまうのは、「患者層」について間違った理解をしているからです。
今回の記事でお話することを知っていただければ、治療院の経営方針を見直して「経営を安定させるために必要なアクションをとることが出来ます。
またコロナ禍のような非常事態でも高水準で売り上げを稼げる体制を作り上げることが出来ます。
ポイントは「3つの患者層」の理解です。3つの患者層がどのようなものなのか、この3つの層をどのように経営方針に落とし込んでいけば良いのかを具体的にお話していきます。
3つの患者層について
治療院に限らず、店舗の顧客には3つの層があります。
- 新規層
- 治療期間層
- メンテナンス層
それぞれの層に関して、詳しく見ていきましょう、
新規層とは
新規層はその言葉の通り、治療院が初めての方(もしくは2回目まで)を指します。
新規層は治療院に限らずあらゆる業種のお店にも存在する層です。
新規層というのは獲得コストが最も高くなる層です。
新規層獲得のために、チラシを撒いたり、ポータルサイトやくーポンサイトに費用を払ったり、ホームページを作成してPPC広告を運用したり、様々な費用と時間がかかるからです。
新規獲得コストがどれくらいなら経営を維持できるのかを考えることが重要になります。
新規層は「お試し」の層です。提供するサービスで満足させられるか(治療院の場合「ここなら治る」と思わせられるか)が次のステップにつなげる要因です。
治療期間層とは
治療期間層というのは、「主訴が改善するまで通う層」と理解してください。
新規層がお試しだとすると、この層はお試しの結果に納得して悩みの改善までは通っていこうと考えています。
回数は主訴の重さによって違いますが、6回から数十回まで幅広くあります。また通う頻度も週1回・隔週など、それぞれの症状や改善程度次第で変わってきます。
この治療期間層は悩みを抱えている顧客がいる業種には当てはまります。
例えばエステサロンなどは、初回の施術で満足したら、その後の減量や美容のために詰めて通い始めます。
それ以外の業種では「モラトリアム層」と呼ぶのが良いでしょう。
モラトリアムは「猶予期間」ですか。1回目・2回目ではまだ自分に合っているサービスなのか判断がつかないために、もう少し通ってみようというわけです。
美容院などではモラトリアム層は結構多く「4回目まで来てくれたのに、ぱったりと来なくなった」なんてケースも多いです。
メンテナンス層とは
メンテナンス層は「主訴が改善したあとも一定間隔で通ってくれる層」ということです。
他の業種では「ファン」と表現しています。
メンテナンス層は月に1回・2週に1回というような頻度で通ってくれる人たちなので、この層が何人いるかで毎月の売り上げの安定につながります。
施術を1回5,000円で行っている治療院があるとしましょう。
この院には次のような内訳のファンがいるとします。
- 月に1回通ってくれる人50人
- 2週に1回通ってくれる人10人
50人×5,000円=250,000円と10人×10,000円(5,000円を2回)=100,000円を足して350,000円。少なくともこの額が毎月約束されることになります。
一人治療院の場合、毎月35万円がほぼ間違いなく確保できるのであれば、精神的にはかなり助かるでしょう。
治療期間層からメンテナンス層につなげることが出来れば出来るほど、毎月約束される売り上げの額は底上げされていくことになります。
各層の割合で経営方針が変わる
新規層・治療期間層・メンテナンス層の3つの割合次第で、売上高や売り上げの安定度が変わってきます。
短期間で売上を上げたいなら
売上をどれだけ高くするかを追求するなら、新規層と治療期間層をいかに増やすが重要になります。
短期間で複数回通ってくれるのは治療期間層。治療期間層は新規層から移行します。
このケースでは「新規獲得のための宣伝」と「治療期間に移行させるための技術力と接客術」を高める必要があります
一方この場合では「新規層をいかに集めるか」が基盤にあるため、新規が鈍ってしまうとすぐに経営が不安定になっていくリスクがあります。
災害・不景気などに弱いのも特徴の1つです。
経営を安定させたいなら
災害や不景気などでも経営を安定させていきたいのであれば、メンテナンス層をいかに増やすかがキーになります。
コロナ禍で最も安定していた整体院があるのですが、そこはメンテナンス層が売り上げの9割を占めており、毎月1人か2人の新規だけで受け入れが出来なくなってしまうようなところでした。
メンテナンス層は治療院(もしくはスタッフ)のファンですから、災害・不景気でも離脱しにくい層です。
また地域に競合院が増えたとしても影響を受けにくいのもメンテナンス層を増やすメリットです。
一方でメンテナンス層を増やすことが苦手な治療院が多いのが現実です。しかしメンテナンス層を増やすと宣伝費が減っていくので、純利益が増加します。
治療院の種類と経営方針
複数のスタッフを抱える治療院の場合
何人スタッフを抱えている整骨院や整体院などの場合、新規層と治療期間層をグルグルと回していく方向が合っています。
というのもスタッフは入れ替わる可能性があり、人にファンが付きにくいからです。(もちろん例外はあります)
またスタッフに「ファンづくり力」をセミナーなどで身に付けさせることが難しいのも理由の1つ。
だからスタッフを教育してファンづくり力を身に付けてもらうのは、コストが高くなってしまいます。
つまりメンテナンス層が増えにくい体制なのが複数のスタッフを抱える治療院の構造なので、新規層・治療期間層を増やす方が合理的な経営方針なのです。
1人治療院の場合
一方で1人治療院が目指すべきなのは「メンテナンス層を増やすこと」でしょう。
新規層を増やすには宣伝費が必要になります。宣伝費は大型治療院の方に強みがあるので、新規獲得力では1人治療院は勝ちにくいのです。
貴重な新規層・治療期間層をメンテナンス層をつなげられるのは、1人治療院だからこそ出来ることです。
開院したての時は新規を集めなければ先に進めないので新規獲得のための宣伝をする必要がありますが、同時にいかにメンテナンス層を作るかにも力を入れる必要があります。
新規獲得ノウハウを学ぶことも必要ですが、そこだけに力を入れているあまりにメンテナンス層を増やていない1人治療院が多いのが現状です。
院長+スタッフ1人くらいの治療院の場合は、上記2つの経営方針の中間くらいを目指して、数値目標を検討してみると良いでしょう。
まとめ
治療院の経営方針を考えるための「3つの層」について具体的に説明しました。
1人治療院に向いている方針、大型治療院に向いている方針が違うにも関わらず向いていない方針を導入している治療院が多いです。
特に1人治療院に多いのが、大型治療院的な戦略をとっている場合。この場合メンテンナンス層が増えないので経営が安定していません。
今売り上げ・経営的に不安定である場合は、今回の記事を参考にして方針を一度見直してみることをおススメします。
今あなたは新規層を増やすことが必要なのか、メンテンナンス層が足りていないのか、それがわかれば進むべき道がはっきりとわかるはずです。
投稿者プロフィール
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治療院ひとつひとつの特性や地域性・業種ごとの推奨マーケティング理論を踏まえた集客コンサルティングを行うプロ。
有名クチコミサイト「エキテン」黎明期に在籍し、企画立案、有料サービスのプランニング、一般店舗のコンサルタントとして集客・マーケティング業務に従事。
当時のクライアント店舗は300を超え、その大半が治療院であったため、治療院の集客を熟知するようになる。特に新規客獲得に貢献した集客のエキスパートとして2012年に独立し「店舗集客集団WAO」を立ち上げる。
2021年には店舗集客集団WAOの治療院部門を独立させ、「治療院集客集団WAO」を設立。
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